父親のいない出産はなぜタブー視されるのか?

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安藤美姫の出産がワイドショーでもネットでも騒がれています。個人的には俺はフィギュアに興味が一切ないので安藤美姫もよく知らないしどうでもいい。身内でもなんでもない女性が子供を産もうがヒヨコを産もうが細胞分裂で増えようが、別に本人の好きにすればいいと思います。

ただネット上では「安藤美姫の出産をネガティブに捉える既存マスコミ」VS「ダンコガイ的自由な生き様に理解のある我らネット民」的なアホーな捉え方をしているムキもあり、そこには違和感を感じる。

安藤美姫がどうでもいい俺からしたら、もうその論争自体どうでもいいわけで、父親の正体をあかさない未婚の出産に対して、反対だろうが賛成だろうがネットをあげてワイワイ大騒ぎしてる時点でオマエラ結局同じ次元にいるんじゃないの?という印象。

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で、論争の的になった文春のアンケート「この出産に賛成ですか反対ですか」。まあ人様の出産に対して何様やねん、というのはもっともな反応でもあるのですが、文春としてはさほど悪意はなく、マスメディアとしての「よくある企画立案」でしかなかったと思います。
※マスメディアが人によって意見の別れる芸能ゴシップ的話題に対して「反対ですか?賛成ですか?」ってアンケートはひねりのない企画としてよくあるパターン。

もっとも文春がこれを「意見が別れる」と判断したところにはやはり「父親のいない未婚出産」ということがタブーだというぼんやりした認識があるからこそ、「100%おめでとうといえるような状況ではない」と判断した。これは確か。

ではなぜ「父親のいない未婚出産はおめでたくない」と人は感じるのか?そんな疑問自体おかしい!と唱える人に言いたいが、あなたの結婚していないはずの妹や娘がしばらくぶりに帰省してきたら、何の連絡もなく内緒で子供を出産していて、しかも「父親の名前は言えない」と言い張る。それに対してあなたは本当に何の疑問もいただかないのか?そこに一ミリの曇りもなく本心から「おめでとう!良かったね!」とだけ言えるのか。

現実に責める責めないはともかく、そこに何か「それはあまりうまくないんじゃないの」という疑問・違和感があるはず。じゃあその違和感はいったい何なのか?原初的な本能なのか?その違和感の原因を考えてみました。

仮説1)古い家族制度をベースにすると、生活が困難だから

家父長制度をベースとした社会では、女性が働く必要がない&働くことが困難(極端に劣悪な環境、あるいは水商売、売春産業しかない)という状況を前提に、「父親に養ってもらわずにどうやって食っていくんだ!」的な価値観が残っているから、という説。実際戦後しばらくまではそういう社会だったので、そういう苦労はさせたくない、しないほうがいいという老婆心からくる反発もある。実際団塊世代までは「女がひとりで生きていくのはひどい苦労を伴う」という価値観が強い。

仮説2)生物・遺伝的な嫌悪感

人間がもともとツガイを作って社会生活を営む動物だという前提に立つと、父親として自己の遺伝子を持つ子孫をかなりの犠牲を払って育て遺伝子バリエーションを増やすという社会本能から見て「父親がいない子供を作ったメス」を社会に持込み、育てようとする「フリーライダー」の存在を排除したいという本能に駆られる可能性。

仮説3)子供は両親から愛情をかけてもらって育てるべきだという価値観

深く考えずに「理想的な家庭」と素朴に考えた時に、ぼんやりと「両親が揃っていて諍いのない家族」というのを考えるのは、別に日本だけではないと思います。

仮説4)子供は母親がつきっきりで育てるべきだという価値観

親学思想に近い、幼い子供は母親がその手で育てるべきだという価値観。こういう考えの人は、共働きで保育所に預けること自体あまりいい顔をしないと思う。若い人には少なくなってきている。(だったら小学校に入れるのはいいのかよ思うが)

仮説5)未婚出産は男にとって「ズル」で女性にとって「損」である

子供を作った男はその面倒を見る「義務」がある。性行為をし、子供を産んだのに男に面倒を見てもらえないのは「損」だ。そういう女性はあえて損な道を選んでいるのか、あるいは「被害者」である。本当にそれでよかったの?その男は無責任でひどいやつだ!という女性を被害者としてみる視点。

仮説6)フツーじゃないしかっちょわるい

細かい理屈じゃない。みんな「フツー」結婚する。みんな「フツー」結婚式を上げる。みんな「フツー」子供を生む。みんな「フツー」結婚相手がいる。みんな「フツー」父親がいる。「フツー」じゃない!ダサい!キモい!変わってる!

未婚の母に否定的な心境の要因としてはこんなところでしょうか。ここにあげた要因は学問的根拠がないので俺の勝手な妄想なのも混じっているし、仮説と仮説は同じ要因を別の言い方で説明しているだけのケースもあるでしょう。

昔は親子のみならず一族郎党すべて揃って住んでいないとおかしい、不道徳だという時代もあったんでしょう。でも現代の東京においては今やそういう家庭のほうが稀。その理屈でいうと時代の変遷で父親がいない未婚での子育も普通の時代も来るのかもしれない。フランスはすでにそうなのかもしれない。でもそれは進歩?堕落?じゃあ勝手に子供を産んですぐ赤ちゃんポストに預けて自分は好きに生きる。それは進歩なのか堕落なのか?

安藤美姫なんてどうでもいい、有名人なんて騒がれてナンボじゃないの?と個人的には思うが、女性の未婚出産が反対であれ賛成であれ、ここまで人の心を騒がせる。その要因についてはじっくり考えてみるのはちょっと面白いと思う。

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